レストランで食事をしていた
食事を終えレジに行くと
注文したものが書かれている伝票を
テーブルに忘れてきたことに気づいた
自分がいた席へもどると
誰かが伝票を持って行ったことを知る
私が伝票を忘れたことに気づいた人が
気を利かせてレジへ届けに
行ってくれたのだろう
しかし
ふたたびレジに行ったが
私の伝票は届いていない
レジ係りの人に
私がいた席を教えるため
壁に貼ってある店内の見取り図で
説明しようとしたが
それは昔のもので今と違うと
レジ係りに言われる
「なにをお食べになったのですか?」
食べたのは4品だったが
どの名まえもややこしくて
長かったという印象しかない
どうして「カツ丼」みたいに
簡潔な名まえにしないのだろう?
料理に慣れ親しみ
愛着を持ってもらうための
配慮が欠けているのではないのか?
憤りに近い感情がこみあげてくる
「どこの席だったのですか?」
レジ係りにきかれたが
店内は狭いわりに
入り組んでいたので
間違いがないよう
自分がいた席の近くへ行って
指し示そうと考えた
念のためレジ係りが
私の姿を見失わないよう
レジから見通しのいい通路を通って
席へ行こうとしたが
その通路は細く
むかしテレビショッピングで
しつこく宣伝されていた
ぺらぺらした板状の金属でできてる
健康器具が山積みされていた
健康器具の山を越えながら
近ごろの飲食店では
自分が食べたものより安いものを
食べた他人の伝票をくすねて
会計を済ます人がふえている
というニュースを思い出していた