はたまん文庫

七階

新しくて大きな
病院の建物を目にすると
ブッツアーティが書いた
「七階」という物語を思い出す

その病院では
患者が症状の程度によって
七つの階にふりわけられることに
なっている
しかし軽症だったはずの
ある患者は
病院側の対応に抵抗したり
不本意な状況を楽観的に
受けとめたりしながら
けっきょく
軽症患者の階から
重症患者の階へ
移動させられていく

この物語の気味悪さは
病院側の人間に
悪意があるのかないのか
判断がつかないことである

そんな不可解さがありながら
この物語が破綻していると
感じないのは
このような人間に
現実の社会で接することが
あるからかもしれない

(2014年10月9日)