はたまん文庫

日陰

山越えの道を自動車で走っていると
知ってる顔の犬と人間がいた

「なにをしているの」とたずねると
「暑いから日陰で休んでいたんだ」
と人間のほうが言った

犬は舌を出していた

用事をすませて
行きと同じ道を通って帰る途中
知ってる顔の犬と人間が
まだ同じところにいた

「立っていたら疲れたから
座っていたんだ」
と人間のほうが言った

犬は寝ていた

(2014年7月23日)