はたまん文庫

子どもたちの夢

無神経で厚かましく
自慢話をするためだけに
生きている老人たちで
世の中があふれかえっていることに
子どもたちはうんざりしていた

今日も子どもたちにとって
貴重な人生の時間が
老人の趣味にまつわる自慢話と
それにとってつけたような
「夢を持つことは大切」という
教訓のために費やされた

しかし子どもたちは一人一人
すでに切実な夢を持っていて
こっちから老人に説教してやりたいと
考えた子どももいた

子どもたちの夢はさまざまだった

「スポーツしている人は
じっとしている人より
よけいに二酸化炭素を出すので
地球温暖化対策として
すべてのスポーツを禁止する!」

「地産地消を推進するため
市町村ごとに国家として独立して
鎖国する!」

「どうぶつ園に監禁されている
どうぶつたちを解放する!」

「こころのケアと称して
他人のこころをのぞき見したがる
偽善的でうす気味悪いやつが
近寄ってきたらぶんなぐっても
ゆるされる法律を作る!」

「戦地へ行ったら
たいてい死ぬから
兵隊にするのは
先の長い若者でなく
先の短い老人にする!」

そして
子どもたちには
つぎのような夢もあった

「自分が長生きできたとしても
無神経で厚かましく
自慢話をするためだけに
生きている老人にならない!」

(2014年7月22日)