「パパ
ぼく感動したよ」
「どうしたんだい?」
「フラミンゴが
動物園から
逃げたんだ」
「ああ
テレビのニュースで
やっていたね」
「ぼく
フラミンゴって
飛べないと
思っていたから
フラミンゴが
空を飛んだことに
感動したんだよ」
「逃げたやつは
飛べないように
するための細工が
うまくされて
いなかった
らしいね」
「どうして
飛べるのに
わざわざ
飛べないように
細工するの?」
「それは
大人の事情が
あるからだよ」
「大人の事情って
なに?」
「それは・・・」
「パパ!
大人の事情って
なに?」
「それは・・・」
「パパパパパパパパ
パパパパパパパパパ
パパパパパパパパ!」
「うるさいよ!
そんなに
さわぐと
おまえのくちに
細工しちゃうぞ!」
「パパ」
「なんだい?」
「せっかく
自由になれた
フラミンゴを
どうして
動物園に
つれもどそうと
するの?」
「それは
大人の事情が
あるからさ」
「空を飛べない
人間が
わざわざ
飛行機にのって
動物園へ行くのに
空を飛べる
フラミンゴが
どうして
空を飛んで
好きなところへ
行っては
いけないの?」
「だから
それは
大人の・・・」
「パパ!
フラミンゴは
悪いこと
してないのに
どうして
好きなところへ
行っちゃ
いけないの?」
「うるさなあ!
人間だって
どこでも
好きなところへ
行けるわけじゃ
ないんだよ!」
「人間が
行っちゃいけない
ところって
どこ?」
「たとえば
パパの場合・・・」
「・・・・?」
「ママ以外の
女の人の・・・」
「パパ」
「なんだい?」
「フラミンゴが
動物園からの
脱出に成功して
しあわせになりました
という映画を
だれかが
つくってくれたら
ぼく
ぜったいに
観に行くよ」
「そんな映画を
つくる人は
いないよ」
「フラミンゴが
動物園からの
脱出に成功して
しあわせになりました
という映画を
どうして
つくる人は
いないの?」
「だって
それは・・・」
「大人の事情?」
(2012年7月29日)