はたまん文庫

セミの夢

コウスケは
誕生日のお祝いに
カメラをもらうと
それから毎日
カメラを持ち歩き
いろいろなものを
撮影しました

ある日
コウスケは
セミを見つけました
セミはコウスケが
近づいても
逃げるようすがなく
おかげで
コウスケは
セミの写真を
たっぷりと
撮影できました

家に帰った
コウスケは
セミの写真を
パソコンの
モニターに
映してみました
「わーっ
セミって
こんなふうに
なっているんだ!」

コウスケは
じっさいに
目で見ていた時には
気づかなかった
セミの細かな部分に
こうふんして
時間がたつのを忘れて
セミの写真を
見つづけました

コウスケが
姿を消したのは
つぎの日のことでした
コウスケの
おとうさんや
おかあさんは
あちらこちらを
さがしましたが
コウスケは
見つかりません

なぜなら
コウスケは
自分で掘った土の中に
埋まっていたからです
「ボク
セミになって
みんなを
びっくりさせてやるんだ!」

(2010年6月23日)